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鋳鉄について

前回は鋳物の分類について説明しましたが、今回からは材質ごとに紹介をしていきます。
トップバッターは「鋳鉄」。国内の鋳物生産量の約70%を占め、一般的に 鋳物といえば鋳鉄を指すほどの代表選手です。
鋳鉄は一般的に「硬くて脆い」と言われていますが、それは炭素の含有量が鉄や鋼より多いためです。
「硬くて脆い」と聞くとなんだか良くないもののように聞こえてしまいますが、含まれる炭素の大部分が黒鉛として析出することで様々なメリットを生じます。
材質は主に「ねずみ鋳鉄(FC)」「球状黒鉛鋳鉄(FCD)の2種類が一般的です。
それでは、それぞれの特徴を紹介していきます。
ねずみ鋳鉄(FC)
鉄と炭素の合金で、炭素が黒鉛片状の形で多く存在しその破断面が灰色(ねずみ色)であることからこのような名前になったのでしょう。
フェライト( Ferrite )キャスティング( Casting )の頭文字をとって「FC」と表記し、そのうしろに引っ張り強さの最低値を示す3桁の数字が付きます。
(例えば、FC200であれば「最低引張強度が200以上のねずみ鋳鉄」となります。)
●メリット:耐摩耗性、振動吸収性、切削性、熱衝撃に優れる
●用 途:工作機械のベッドやテーブル、シリンダー、ブレーキローター、鉄瓶、フライパンなど
球状黒鉛鋳鉄(FCD)
ねずみ鋳鉄の炭素が片状黒鉛であるのに対して、こちらはその名の通り球状になっています。
球状黒鉛鋳鉄はダクタイル(Ductile)と呼ばれています。ダクタイルというのは「伸ばしやすい、しなやか」という意味です。
頭文字をとって表記は「FCD」となり、その表記の通りねずみ鋳鉄よりも靭性が優れています。
●メリット: FC以上の機械的性質(引張強さ、衝撃値)に優れる
●用 途:水道管、マンホール、エンジン部品など
次回は「鋳鋼」についてご説明いたします!