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自硬性造型について

access_time2020年11月6日

砂型鋳造法の中でも、砂型の強度を上げるために樹脂などを混錬し、造型後に放置して自動的に硬化させるものを「自硬性鋳型」と呼びます。

自硬性は大別すると水ガラスやセメントを用いる「無機自硬性」とフラン樹脂などの樹脂類を用いる「有機自硬性」に分けられますが、無機自硬性と比較すると造型における効率性や注湯後の鋳型崩壊性、砂のリサイクル性において圧倒的に有機自硬性の方が優れており、現在国内の自硬性ラインを持つ鋳造現場の多くが有機自硬性を用いています。
ここでは、そんな有機自硬性についてご紹介させていただきます。

有機自硬性鋳型

使用される樹脂と硬化剤などの種類により何種類かに分かれますが、主にはフラン自硬性とアルカリフェノール自硬性が用いられます。

【フラン自硬性】

有機自硬性の中で最も少ない樹脂添加量で高い強度を得られる造型法であり、砂のリサイクル性が非常に高いため国内で最も多く採用されている有機自硬性鋳型となります。
また、樹脂の粘性が低く、上述の通り添加量も少なくて済むので混練砂の流動性が良く、鋳型の密度が高くなるため寸法精度の良い鋳物が出来ます。
反面、硬化剤に硫黄が含有されているためダクタイル鋳鉄の鋳造時に球状化阻害を起こしやすく、注湯時に発生する亜硫酸ガスによりガス欠陥がおきやすい、非常に臭気が強いなどのデメリットもあります。

【アルカリフェノール自硬性】

フラン自硬性造型による作業環境の悪化の改善を目的として開発された造型法であり、樹脂中に窒素分が少なく、硬化剤にも硫黄分が無いためガス欠陥が起こりづらい、球状化阻害が無いといったメリットの他に、優れた耐熱性とナリヨリ性(鋳込んだ溶湯の凝固時の収縮膨張に耐えうる鋳型の性能のこと)を持つことから、鋳鋼分野を中心に利用されています。
欠点として、他の有機自硬性と比べて冷間での強度がやや低く、樹脂添加量が多くなる(=高くなる)ことと、砂のリサイクル性がフランよりも悪い事があげられます。

自硬性造型は前回、前々回にご紹介した手や機械で突き固める生砂系の造型と比較して、樹脂の乾燥を待つ必要があるため1型1型の造型に時間はかかりますが、より大きく複雑なものを造型できる特徴があります。

形状、サイズ、数量、材質などから最適な造型方法を選択することが鋳造において非常に重要となりますので、「この製品はどんな造型方法が良いのだろう」といった疑問がございましたら是非お気軽にお問い合わせください。

次回はアルミ鋳物等で用いられる「グラビティ鋳造」についてご紹介いたします!

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