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生型の特徴と条件

access_time2025年2月28日

今回は、鋳型における粘土を粘結材とする『生型』にフォーカスして、特徴や条件などご紹介させていただきます。
以前、造型方法についてはご紹介しましたので、その際に紹介しきれなかった特徴や条件などをご紹介したいと思います。

  1. 物理的な加圧のみで造型が可能
  2. 造型時に既に十分な粘結力があり、流動性が悪い
  3. 作られる鋳型の強度が弱い
  4. 水分含有量が多い
  5. 砂の繰り返し使用が容易
  6. 水ガラス系の鋳型と同様に発生ガスが少ない

上記に加えて生型は造型速度が速く、砂型費が安価な点から古くから広く使用されています。

上記の特徴だけでは、「砂型費が安価で済むなら全部生型で良いんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。
ですが生型で造形するには、いくつかの条件を満たす必要があります。どのような条件を満たすことが重要なのかは、以下の通りです。

  1. 混錬後、注湯までの間に鋳型の乾燥がすくないこと
  2. 造型時の充てん性がよく、且つ、抜型性がよいこと
  3. 造型後、搬送中の衝撃に耐える強度があること
  4. 注湯時に溶湯の重量、圧力などの衝撃に耐える強度があること
  5. “すくわれ”・“絞られ”などの熱膨張による鋳造欠陥が発生しないこと
  6. “焼着き”が発生しない耐火性があること
  7. 必要な鋳肌粗さが得られる粒度構成であること
  8. 鋳型内のガスや空気が鋳造欠陥を発生させない速度で排出できる粒度構成であること

要するに生型の場合は、砂の状態管理が最も重要であり、多くの管理項目を設け、変化に対して柔軟に対応するための高度な技術やノウハウが必要となります。

1個あたりの鋳物は安価かもしれませんが、そこには多くの失敗から得た経験やノウハウがあり、日々変わりゆく天気や気温・湿度との闘いが隠れています。1日として同じ条件の日はなく、機械で制御しきれない、まさに職人の世界なのです。

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